AIで描く源平合戦紙芝居|子どもに伝える地元の歴史
こんにちは、英語講師の杉田です。
この記事では、AIを使って紙芝居をつくるまでの体験談を、実際の画像とともにご紹介します。
今回の舞台は、私が暮らす福岡県北九州市・門司。地元の読み聞かせグループで「地蔵の杜(もり)」というオリジナル紙芝居を制作することになり、その挿絵をAIで作るという新しい挑戦をしています。
実際に取り組んでみると、AIで絵を描くというのは思ったよりずっと奥深く、そして面白い作業でした。
AIで紙芝居をつくるという挑戦
きっかけは地元の読み聞かせ活動
地元の図書館などで活動している「読み聞かせグループ」で、メンバーからこんなアイディアが出ました。
「せっかくなら、門司にまつわる物語を紙芝居にして、子どもたちに伝えたいよね。」
その声から始まり、私は裏方としてこのプロジェクトに参加することに。AIで教材を作ることに慣れていたので、「絵もAIで描けるんじゃない?」と自然な流れで話が進んでいきました。
「地蔵の杜」が描く源平合戦の物語
今回紙芝居にした「地蔵の杜」は、源平合戦の最終決戦・壇ノ浦の戦いを背景に、地元に伝わる伝承を加えたオリジナルストーリーです。
戦に敗れて逃げる平家の武将たちが、門司の白野江で不思議なおじいさんに助けられ、その場所に後に「みちひらきの神様」が祀られた——というお話です。
物語の終盤には、二位尼が孫の安徳天皇を抱きながら海に身を沈めるという、源平の美しくも悲しい最期が描かれます。
AIで絵を描くときの難しさと工夫
キャラクターの顔が毎回変わる問題
紙芝居は、場面ごとに同じ人物が繰り返し登場するのが特徴です。ところが、AIに絵を描いてもらうと、毎回少しずつ顔や服装が変わってしまうという問題にぶつかりました。
たとえばこちらをご覧ください。これは「壇ノ浦で源義経が船を飛び移る場面」を描いてもらったものです。
🎨【画像比較:義経ジャンプの3段階】
①最初のバージョン(1回目)
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表情が若く、髪の毛をなびかせながら軽やかにジャンプ。
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鎧の描写はやや簡素で、兜や飾りはなし。
②描き直しバージョン(2回目)
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青い鎧と金の鍬形(兜)が加わり、戦国武将らしい重厚感が出ている。
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ただし、顔立ちが1回目とは異なり、やや年齢も上がった印象。
③さらに描き直したバージョン(3回目)
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線の描写が力強くなり、キャラクターの存在感が増したが、表情が厳つくなりやや別人感が出てしまっている。
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背景の緊迫感は強まり、場面の迫力としては向上。
このように、同じ人物・同じシーンでも、AIが解釈するたびに微妙なズレが生じることがわかります。
その試行錯誤こそが、AIとの“共創”の面白さでもあります。
人物ごとの固定設定をどうしたか
主要人物(平宗盛、知盛、教経、二位尼、安徳天皇、源義経)について、見た目の特徴をリスト化し、生成時にプロンプトとして毎回入力するようにしました。
また、特に気に入った絵を「基準画像」として選定し、それを参考に描き直すことで、ある程度のキャラ統一を保つ工夫も重ねています。
生成した画像の共有とこれから
平知盛・二位尼など登場人物たち
戦場での迫力ある場面とは逆に、静かに語りかけるような場面もあります。たとえば、二位尼が安徳天皇を抱いて沈んでいくシーン。
ここでは、子どもにも分かるように、表情を「怖すぎない」「でも覚悟がにじむ」絶妙なバランスに調整しました。
これから挑戦したいこと・感じたこと
「AIに描かせる」と聞くと、冷たい印象を持たれるかもしれません。でも実際には、人の手と同じように、どこまでイメージを共有できるかがカギでした。
裏方として、このプロジェクトに関われたことがとてもありがたく、「物語をつくる楽しさ」を再確認する機会にもなりました。
AIを活用した教材づくりの可能性
私は日々の英語レッスンでも、AIで絵カードやワークシートを作っています。
今回の紙芝居作りのように、「ストーリーと絵の一致」は、子どもの理解を深めるうえで非常に重要です。
AIは、私にとって「早くできる便利な道具」という以上に、教育のパートナーだと感じています。
終わりに
この記事が、あなたやお子さんの英語学習やAI教材づくりのヒントになればうれしいです。
「AIで何か作ってみたい」と思っている方の背中を、そっと押せたら……そんな気持ちで書きました。
読み聞かせ用紙芝居『地蔵の杜』が無事完成するよう、ぜひ応援してくださいね!
お問い合わせ・体験レッスンのご相談も、お気軽にどうぞ。